近年、特に2000年以降にタワーマンションは急激に増加しました。首都圏だけでなく、京阪神および名古屋エリアでもタワーマンションが目につくようになり、地方中核都市でも見られるようになっています。
タワーマンションの供給が増えているのは、居住用としての実需に加え、投資物件としての価値が高まっているからでもあります。通常のマンションに比べ、中古物件になっても価値が下がりにくいと言われるタワーマンションですが、他にはどのようなメリットがあるのでしょうか。あまり語られないタワーマンションのデメリットも含めて詳しく見てみましょう。
タワーマンションとは
「タワーマンション」という言葉を聞くと、「高級感のある高層マンション」を思い浮かべる方が多いと思いますが、具体的な定義や条件はあるのでしょうか。
結論から言うと、「タワーマンション」という言葉には明確な定義はありません。しかしながら一定の目安はあり、以下のような内容になっています。
タワーマンションと呼ばれる目安
- 建築基準法で「超高層建築」に該当する住居用建築物
- 具体的には、高さ60m以上、20階建以上
- 耐震性やエレベーターの安全性が求められる
- 高さ100ｍを超える場合は、非常用の屋上へリポートの設置義務あり
「タワーマンション」には明確な定義がないものの、建築基準法や消防法などでは建物の高さによって具体的な基準が設けられていることから、一般的なマンションに比べて構造的には優れた点が多いと言うことができます。
また、パーティールーム、プール、ジムなど共用施設が充実している物件が多く、24時間体制のフロントコンシェルジュやセキュリティ設備を導入したハイスペックなマンション管理も特徴の一つになっています。
タワーマンションのメリット
超高層建築の場合、地震の揺れによる被害が心配されますが、タワーマンションでは建築基準法による『新耐震基準』より厳しい構造性能評価をクリアすることが求められています。2017年4月以降は、震源から離れた地域に大きな揺れを引き起こす『長周期地震動』への対応も強化されたことから、より安心できるものになっています。
最新のタワーマンションでは「免震構造」や「制震構造」が採用されており、震度6程度の地震では崩壊、倒壊しないと考えられています。「耐震構造」の一般的なマンションに比べて、タワーマンションは地震に強いと言っていいのではないでしょうか。
また、高層階からの眺望の良さや日当たりの良さも大きなメリットです。北向きの住戸であっても、高層階では目の前を遮るものがないため十分に明るく、建物が密集している都心エリアでは大きな魅力になっています。
タワーマンションは、住戸数が多いこともあり共用施設が充実している点でも高い評価を受けています。ラウンジ、フィットネスルーム、パーティルーム、ゲストルームなどのほか、入居者専用プールを備えている物件やエントランスにコンシェルジュが常駐し、ホテル並みのサービスを受けることができるマンションもあります。
さらに、警備会社の機械警備に加え、夜間も警備員が常駐する24時間有人警備体制を取っているマンションも多く、セキュリティ面でも優れている点がタワーマンションのメリットです。
タワーマンションのデメリット
知らない方も多いと思いますが、タワーマンションでは強風に注意する必要があるため、「網戸が無い」「バルコニーで洗濯物を干せない」といった、独自の仕様や管理規約が定められている場合があります。網戸に関しては、サッシの内側に取り付け可能なプリーツ式やロール式の製品があるため大きな問題ではありませんが、「バルコニーで洗濯物を干せない」という点は、家族構成によっては大きなデメリットになります。一般のマンションでは当たり前のことが、タワーマンションでは禁止されていることがありますので、購入前に確認が必要です。
また、一般的にマンションでは南向きの住戸が良いとされていますが、バルコニーがないダイレクトウインドウのタワーマンションの場合、夏には暑すぎると感じる人もいるようです。窓が開けられないことで息苦しく感じる人、高層階では微弱な揺れを感じる人もゼロではありません。
豪華な共用施設やハイスペックな管理体制についても、入居者の「管理費・修繕積立金」で運営されていることを忘れてはいけません。利用頻度の低い施設やサービスを維持し続けるためには、相応のランニングコストが必要であり、長期にわたって維持できるかどうかも検証する必要はあります。
どんな住まいでもメリット・デメリットは存在しますが、タワーマンションが初めてで不安な場合は、賃貸で一度住んでみることをお勧めします。利便性や居住性の高さだけに注目されがちですが、タワーマンション独自のデメリットが気になる人も少なくありません。実際に体験してマンション選びに失敗しないようにしましょう。
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