住宅ローン控除の動向が注目されていた、2022年度の税制改正大綱が12月10日に発表されました。かねてから噂されていた住宅ローン控除の延長は、どうなったのでしょうか?
今回は、2022年にマイホーム購入を検討している方にとって非常に重要な住宅ローン控除の改正ポイントを見ていきたいと思います。
住宅ローン控除は延長・縮小の方向
結論から言うと、住宅ローン控除は延長・縮小となります。
2019年度の消費税引き上げ、2021年度の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、少しずつ制度の拡充が図られてきましたが、現行制度では、入居期限の要件が『2021年12月31日まで』となっていることもあり、一旦区切りを迎えることになっていました。
今回の税制改正では、入居要件が『2025年12月31日まで』となっていますので、住宅ローン控除は実質4年延長されることになったと言えます。
しかしながら、最大の注目ポイントである「控除率」については、現行の「年末残高の1%」から「年末残高の0.7%」に引き下げられことになりました。この0.7%という数字は、以前から話題になっており、予想通りの決定となったようです。
引き下げの主な要因は、従来から指摘されていた「住宅ローンの低金利による逆ざや問題」です。住宅ローンの借り入れ金利よりも、住宅ローン控除で戻ってくる額の方が多くなってしまう状況にメスが入ったということでしょう。低金利の状況を考えると、やむを得ない措置かと考えられます。
控除対象となる「住宅ローンの年末残高上限」は段階縮小
住宅ローン控除の対象となる住宅ローンの年末残高上限(現行は4000万円が上限)も、結果的には「2年おきの段階縮小」という方向で決着したようです。
では、具体的な事例を見ていきましょう。
2022年から2023年末までに入居の場合
- 省エネやバリアフリーなどに配慮した「認定住宅」では、住宅ローンの年末残高上限5,000万円
- 一定程度、省エネに配慮している住宅では、住宅ローンの年末残高上限4,500万円もしくは4,000万円(住宅性能に応じて判断されます)
- それ以外の住宅では、住宅ローンの年末残高上限3000万円
2024年から2025年末までに入居の場合
- 省エネやバリアフリーなどに配慮した「認定住宅」では、住宅ローンの年末残高上限4,500万円
- 一定程度、省エネに配慮している住宅では、住宅ローンの年末残高上限3,500万円もしくは3,000万円(住宅性能に応じて判断されます)
- それ以外の住宅では、住宅ローンの年末残高上限2,000万円
上記の制度概要では2年おきに縮小していくように見えますが、国土交通省のデータによると、令和元年度に新築された住宅(マンション含む)のうち、省エネ基準に適合している住宅は約81%ということですので、2023年末までの入居であれば、多くの方が現行と同水準もしくはそれ以上の限度額が適用される見通しとなります。
「住宅ローンの年末残高上限」は、2023年末までは実質据え置きで、それ以降は縮小といった状況と言えるのではないでしょうか。
住宅ローン控除の適用期間および所得制限について
これまで、住宅ローン控除の適用期間は10年間でしたが、今回の改正では、「新築住宅は13年間」、「中古住宅は10年間」に変更となりました。
国土交通省側は、15年間の適用期間を要望していたと言われていますが、そうなると控除率を下げたとしても控除合計額が現行よりも多くなるため、最終的に13年で決着したようです。
また、従来の住宅ローン控除については、所得金額が3,000万円以下の方が利用可能でしたが、今回の税制改正では、所得金額の上限が1,000万円も引き下げられ、「所得金額2,000万円以下」の方が対象となりました。いわゆる「富裕層」は、減税対象から外されることになったということです。
現行制度と新制度の比較
《現行》
上限4,000万円×控除率1%×10年間=最大400万円
《改正後1》※住宅ローンの年末残高上限が変わらない場合
上限4,000万円×控除率0.7%×13年間=364万円
《改正後2》※その他住宅(省エネ・バリアフリー対象外)の場合
上限3,000万円×控除率0.7%×13年間=最大273万円
2023年末までに入居した場合、省エネに配慮している住宅区分であれば、実質的には約1割減で収まりそうな状況です。
一方で、2024年からは、住宅ローンの年末残高上限が一段階引き下げられることになりますので、住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けたいのであれば、2023年末までの入居を目指してマイホーム購入計画を立てましょう。
いずれにしても、住宅ローン減税が有利なタイミングでマイホーム購入を検討することは重要ですが、無理な資金計画を立てることはおすすめできません。住宅ローンの事前審査を含め、できるだけ早い段階で信頼できる不動産会社にご相談ください。
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