住宅金融支援機構が取り扱う「フラット35 」には、「買取型」と「保証型」という2つの種別があることをご存知ですか?全期間固定金利であることは共通なのですが、融資の仕組みに違いがあるため、細かな適用ルールが異なっています。
全国の金融機関で一般的に取り扱われているのは「買取型」で、保証型であれば「フラット35 (保証型)」と明記されています。実際に、「保証型」を取り扱っているのは、住信SBIネット銀行、愛媛銀行、財形住宅金融、日本住宅ローン、ARUHI、クレディセゾン、日本モーゲージサービスなど、一部の金融機関に限定されています。
今回は、あまり知られていないフラット35「買取型」と「保証型」の違いについてお話ししたいと思います。
フラット35「買取型」と「保証型」の融資の仕組みについて
住宅金融支援機構は、一般顧客に対し「住宅ローン」を直接には販売していません。代わりに、全国300余りの金融機関が窓口となって、フラット35を取り扱っています。※毎月の金利の「上限」「下限」については、住宅金融支援機構が決定しています。
住宅金融支援機構は金銭消費貸借契約が完了した住宅ローンを買い取り、それを担保とした債券を発行し、機関投資家に販売しているのです。これが、フラット35「買取型」の仕組みで、この安定した資金調達の結果が、「全期間固定金利」を可能にしています。
一方、「保証型」は住宅ローンが返済されなかった場合に、住宅金融支援機構が保証会社の役割を担い、債務者の住宅ローン返済を行うことになっています。機関投資家への元利金払いについても、住宅金融支援機構が行うことで、フラット35「保証型」という名前が付けられています。
「買取型」とは異なり、毎月の金利は各金融機関が決定することになるため、独自の特色を打ち出しやすくなるため、取り扱う金融機関も近年になって増えつつあります。
「保証型」の魅力は金利の低さ
「保証型」では取扱金融機関ごとに毎月の金利を決定していますが、「買取型」よりもより低い金利のカテゴリーが設定されています。
例えば、ARUHIやクレディセゾンなどでは、自己資金の割合に応じて数種類の金利区分が設定されており、金利の低さが魅力になっています。
ARUHI スーパーフラット(2021年 8月実行金利)
当初10年間 | 11年目以降 | |
アルヒスーパーフラット6S | 0.58% | 0.83% |
アルヒスーパーフラット6.5S | 0.59% | 0.84% |
アルヒスーパーフラット7S | 0.60% | 0.85% |
アルヒスーパーフラット7.5S | 0.61% | 0.86% |
アルヒスーパーフラット8S | 0.62% | 0.87% |
アルヒスーパーフラット8.5S | 0.67% | 0.92% |
アルヒスーパーフラット9S | 0.70% | 0.95% |
※団信不加入、【フラット35】S(金利Aプラン)を適用する場合
6、6.5、7、7.5という数字は価格に対しての融資割合を意味しています。つまり、自己資金が4割であれば6のカテゴリー、自己資金が2割であれば8のカテゴリーの金利が適用となるのです。当然、自己資金の割合が多いほど適用金利が低くなるのです。
一方「買取型」では借入年数によって2つの金利区分があります。
2021年8月の最低金利では
借入期間15年〜20年で1.15%
借入期間21年〜35年で1.28%
となっており、借入期間が短いと低金利になります。
団体信用生命保険の違い
フラット35 では、団体信用生命保険の加入が任意となっている点が、一般の住宅ローンとの大きな違いです。既往症のある方や術後間もない方も、借り入れすることが出来きますので、ご安心ください。
団信不加入(審査後謝絶となったケースも含む)の場合、買取型では毎月の金利から0.2%差し引いたものが適用となります。
一方、保証型の場合では、各金融機関のHPに掲載されている金利は「団信不加入の場合」となっているケースが多いので要注意です。団信に加入する場合には0.2%程度の上乗せが必要となりますのでご注意ください。
また、フラット35 の団信では「夫婦連生 デュエット」と呼ばれる、他にはない団信加入方法があります。これは、申込本人と連帯債務者である配偶者とが2人で加入する方法で、どちらかに万が一のことがあった場合には、その時点での残債を100%弁済してくれます。
民間金融機関のペアローンの場合は、夫婦それぞれ二本の住宅ローンを借入することになるため、別々に借入金額分の団体信用生命保険に加入することになります。どちらかに万が一のことがあった場合には、本人が借入した金額しか弁済されません。
ただし、この「夫婦連生デュエット」は「買取型」にしかない加入方法で、「保証型」は各金融機関が用意した保険に加入することになります。その際は、連帯債務者がいる場合はどちらか1人にしか保険をかけることが出来ません。
低金利を重視するなら「保証型」、団信を重視するなら「買取型」と、ニーズにより最適なプランが変わってきますので、フラット35 を利用する際には、「買取型」と「保証型」の両方をシミュレーションしてみることをおすすめしています。
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