2020年中にマイホームを購入した人には、秋から年明けにかけて「住宅ローン残高証明書」が郵送されたことと思います。残高証明書が手元に届いから確定申告の手続きを意識する人も多いのではないでしょうか。
住宅ローン控除を初めて受ける人は確定申告が必要となりますが、自営業や一部の人を除けば確定申告を経験したことがない人がほとんどです。今回は、初めての住宅ローン控除のための確定申告について解説したいと思います。
住宅ローン控除とは
「住宅ローン控除」は、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅ローンを借入れて、住宅の購入、新築、増改築した場合に利用できる制度で、「住宅ローン減税」と呼ばれることもあります。
送られてきた住宅ローンの年末残高証明書(12月31日時点の住宅ローンの残高)の1%相当額が、最大40万円(認定長期優良住宅などは50万円、個人間売買の中古住宅は20万円)その年に納税した所得税から控除されます。所得税から引き切れない額がある場合は、所得税の課税総所得金額の7%を限度として最大136,500円が住民税からも控除することができます。
ただし住宅は床面積が50㎡以上という制限があります。特にご注意いただきたいのは、ここで言う床面積は「登記面積」を指し、パンフレット等に記載されている壁芯面積と違うということです。登記面積は壁の内側から測るため、専有面積(壁芯面積)が50㎡を上回っていても、登記面積でギリギリ下回ってしまうことがあるので、必ず登記簿謄本を確認しましょう。
また、住宅ローンとは、返済期間が10年以上の割賦償還による返済方法の借入金とされており、自身の親や知人から住宅購入資金を借りても控除の対象になりません。
必要書類を集めよう
確定申告にあたっては下記の書類が必要になります。期限ギリギリになって慌てないないように、徐々に準備を進めていきましょう。
1:確定申告書
会社員等で所得の種類が「給与所得」「雑所得(公的年金等、その他)」「配当所得」「一時所得」のみの場合は確定申告書A、それ以外の場合は確定申告書Bを入手しましょう。
税務署でも配布していますが、国税庁のホームページで書式をダウンロードすることもできます。
2:住宅借入金等特別控除額の計算証明書
1と2は「その年分の確定申告書の書式」や控除額を計算するための書式で税務署に備え付けられています。国税庁のホームページからもダウンロードすることができます。
3:マイナンバーが記載されている書類
マイナンバーカードか通知カード(2020年5月25日以降に発行される場合は、個人番号通知書)を準備しましょう。これらが手元に無い場合には、マイナンバー記載の住民票の写し、もしくは住民票記載事項証明書を取得します。お住まいの市区町村役場で申請してください。
4:源泉徴収票(給与所得者の場合)
給与所得者は勤務先から住宅を購入した年の源泉徴収票を取り寄せて下さい。通常、年末か1月の給与明細書と同時に配布されることが多いようです。令和3年に確定申告をする場合、令和2年分の源泉徴収票となります。
5:土地・家屋の登記事項証明書
いわゆる登記簿謄本です。購入した不動産を管轄する最寄りの法務局で入手できます。その不動産の所有者が間違いなくあなたであるかを証明するために提出します。
マンションの場合は「建物」にチェックして申請すれば大丈夫です。家屋番号(通常であれば部屋番号)が必要になりますので、自宅にある「登記識別情報」で確認しておきましょう。
6:不動産売買契約書や工事請負契約書
住宅を購入した場合は不動産売買契約書、新築工事やリフォーム工事の場合は工事請負契約書の写しを、準備しておきましょう。
もしも、登記費用や住宅ローン借り入れに必要な費用、マンションの修繕積立基金などの「諸費用」も含めて借入れしていた場合、ローン控除の対象となるのはあくまで「物件価格」までとなります。
確定申告書を提出しよう
上記の必要書類が揃ったら、確定申告書に必要事項を記入します。初めての経験の人がほとんどですから、いきなり税務署に向かうよりも自宅で記入してから持参した方が時間の短縮になります。
毎年、税務署や確定申告会場は締め切りである3月15日近くになると大変混雑します。加えて昨今の新型コロナウイルス対策で、例年以上の来場者の削減・分散を図る必要があります。今年は会場内の混雑緩和を図るための「入場時間を指定した整理券」が発行される模様です。
まずは、あなたの地域の税務署のホームページなどで確定申告会場を調べましょう。住宅ローン控除だけの申請であれば、2月15日よりも前から受け付けていることが多いので、とにかく早めに動きましょう。
なお、会社員等は2年目以降の住宅ローン控除については、勤務先の「年末調整」で行うことができます。ただし、1年目の確定申告をし忘れていた場合は、2年目を初回として、確定申告をする必要があります。このケースでは、最大10年間(入居時期の要件を満たしていれば13年)受けられるはずの権利を、1年分の権利を失ってしまうことになりますので要注意です。
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